映画『柘榴坂の仇討』見て来ましたよ

 何年か前に藤原竜也が『最後の仇討』というのを主演した。これも仇討禁止令が出た後の仇討で、新旧の価値観それぞれが胸を打った。

 このタイトルを聞いて、

「そうだよなあ、禁止令が出たからといって、おいそれとは変えられない価値観に執着していた者は、一人や二人じゃなかったろうな。ヒトラーの側近の妻は、「誇りを失ったところで、子供を育てることはできない」と、我が子全員を手にかけたもんなあ…」

 などと思って見に行ったのだが、こちらは執着にエネルギーを燃焼し、疲れ果て、太政官の禁止令で蘇生した男(達)の物語。

 隣にすわった中年がボロ泣きして鼻をすすりあげるので、こっちもうるうる来た。

 昔、お散歩会で豪徳寺に行き、井伊直弼の供巡りの人々の墓を見つけて、ていねいにお詣りしておいて良かったなあ、などと思った。その時

「そうよねえ。井伊が暗殺されたってことは、当然、その周囲の人間はみんな死んでいるってことだものねえ。」

 と、あらためて思い至って頭を垂れたのだが、ホント、ていねいにお詣りしておいて良かった!廃藩置県の時、切腹した武士も多かったに違いない。今の“ひこにゃん”なんか見たら泣いちゃうだろうな。