本木雅弘の久しぶりの主演映画だというので『永い言い訳』を見て来た。
これはね、文字で読むべきお話であって、映画で見るお話じゃないなあ。
現代風だと思ったのは、
「子育てって、男の言い訳になるんだよ。」
というセリフ。
一世代前の男は、自分の存在意義について頼りなく思った時に” 子育てに逃れる ”という選択肢はなかったし、発想としても思い浮かばなかったことだろう。
子供がいない、子供を持とうとも思ったことのない主人公・本木くんが、突然の事故で妻に死なれ、悲しみさえ感じられないという identity の失い方をした時に、全く知らない子供達の世話をすることになる。
それはその場逃れの言い訳、自分の中での演技、およそ暇つぶしのようなものなのだが、自己というものが、実生活の無価値とも思える日常の中で形成されていく。身体のすることに序々に心がついていく。
共感するが食い足りない映画だった。やはり原作を読みたい。
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