昔から西岸良平が好きで、『鎌倉ものがたり』は、30年以上も前から読み続け、買い続けて来た。
平安時代の日本人は日常生活の中に妖怪が存在し、それらに直に触れることさえできたに違いないと思っているのだが、それが現代日本の鎌倉という設定は秀逸だと、かねがね感心していたのである。
その実写版なんて、果たしてうまくいくのだろうかと恐る恐る足を運ぶと、映画館は予想通りのガラガラで、シルバーだらけなのであった。
だが、しかし…私には『ハリー・ポッター』程度にはおもしろかった。黄泉の国での冒険は、思わず手に汗握るほどだったのである。
マンガ原作の中に出て来る猫が気になっていたが、さすがに難しいらしく登場せず。その代わりといってはナンだが、田中泯が貧乏神の役で出て来たので驚いた。
一色正和(堺雅人)の妻(誰だか知らん)は、原作以上に清々しく、無邪気でイヤ味がなく、大いに気に入った。
鎌倉かァ。変に近いので泊ったことがないのだが、夜の鎌倉なんて、散歩してみたいものだ。田中泯のような貧乏神と出会えぬでもない、という気がするのである。
きっと、この映画は評判にならないと思うが、面白うございました。黄泉の世界は、中国の風景だと思う。
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