2017年

5月

08日

映画 This Beautiful Fantastic

 

 この邦題はどうかと思うが…。

育ちの良い偏屈物のじいさんというのは、英国の背景あればこそ、はえるね。

 

 感想をひと言で言えば、つまらんおとぎ話でした。

 

 主人公の設定(捨て子で、鳥があたためて命長らえ、どこかの変なじいさん(頭がヘン)に見つけられての修道院育ち)にも無理があるし、そのために名探偵モンクのような強迫神経症になって植物が嫌いという性格設定をわざわざ作っておきながら、内面に踏み込むことなく、庭づくりとラッキーな遺産相続で物語は終わる。

 

 それに何よりも私には English Garden の良さが全くわからない。見ていると3分の2くらいは、むしりたくなる。

 

「混乱と混沌( confusion と chaos )は違うのだ。」

 という、偏屈なじいさんの言っている意味もわからなかった。

 

 そういえば昔、留学生をホーム・ステイさせていた時、恵泉に通っていた彼女の必須科目には園芸という English Garden の作庭を学ぶというものがあったっけ。

 枯山水と苔庭が一番好きな私には一生理解できないかも。

 

 英国ではやはりヒースの野は好きだった。花の季節も荒れ野も好きだった。ヒースは良い。

 

 そろそろ今年も、ひまわりと朝顔の種をまこうと思ってます。

 気が短いので、放ったらかしはできるが、手入れはイヤよ。

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2017年

5月

01日

映画 エルミタージュ美術館

 

 社会主義の時代にも、貴族というものは、学芸員のような形で残っていたのねェ。

 

 期待していた何倍も良かったので、勢い込んでパンフレットを買ったら、これは全く不要でした…。

 

 1764年エカテリナ2世が、317点の絵画をベルリンの実業家から購入したことが、この美術館の始まりだそうだ。

 

 映画はロシアの歴史を追いかけながら、一つ一つの美術品を学芸員がていねいに解説して続いて行く。

 

 あんなに大きな美術館の中を歩きながら鑑賞することを考えると、映画館ですわったまま、画面いっぱいに細部まで見せてくれ、解説も入るのだから、おトク感いっぱいであった。

 

 エカテリナ2世は、戦争の最中に特にどんどん購入したのだそうである。それは、ロシア帝国の財力を敵に見せつけて戦意を喪失させる政治的な意図からだったそうである。

 

 1917年のロシア革命の時、首都がモスクワに移ったことで、この美術館は宮殿からそのまま美術館として残ることになった。

 

 感心したのは美術館の職員達が皆、けっこうな英語で(年寄り達が)自分の意見をまくしたてる様子。

 

「美術品は、どんなに奪っても奪われてもいいと思う。それが私の意見。ただ公開すること、世界に向けて見せていくことだけが大事。」

 と言っていたおばあさんもいた。(学芸員です。)

 

 いい話だなあと思ったのは、第二次世界大戦の時、絵画は額から取り外して疎開させたのだが、おなかをすかせ、傷付いた兵士達が美術館に入って来た時、地下にとどまっていた学芸員が、額だけになって壁に掛けられている絵のひとつひとつを解説し、皆が豊かな気分になったというものだった。

 

 それからプーチン大統領は、本当に芸術に理解があって、

「これだけの指導者は世界でも珍しい。」

 と、館長が語っていた。

 

 美術品を仲介にして、イギリスやドイツとの関わりを語るのを聞けば、我々はニュースで政治の面でしか世界を把握していないけれど、芸術の立場から眺めてみれば、全く違う世界地図が描けるのだと実感した。

 

 エルミタージュ美術館の保管倉庫は、見せるのを前提に作られていて、ガラス張りの倉庫が2kmにわたって続いているのだそうである。

 

 プーチン大統領はペテルブルクの出身で、各国の首相を必ずここに案内するというのだが、安倍さん案内してもらったかなあ。それどころじゃないのかなあ。

 

 この映画、有楽町駅前のヒューマン・トラストでしか上映していません。

 首都圏にお住まいの方々、是非にとお勧め致します。

 

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